コーヒー豆 生産主要国のアラビカ種とロブスタの割合や種別ランキング集計 -「USDA(米国農務省)」資料参照

「FAOSTAT」のコーヒー豆 生産量データを抽出して 2022年ランキング集計しました。

「FAOSTAT」のコーヒー豆 生産量データを抽出(2024/1/31)して 2022年ランキング集計とマップに情報追加

10位「中央アフリカ共和国」、11位「ギニア」にはまだ首を傾げているものの、趣味で各国のコーヒー豆を楽しむ分にはこれで十分でしょう。

アラビカ種とロブスタの比率は知っておきたい

より見やすく「コーヒー豆」全体のランキング一覧表も完成しました。

コーヒー豆 生産国一覧&ランキング

でも、ベトナムで生産されるコーヒー豆の品種はほぼ「ロブスタ」であり、逆にコロンビアは 100%「アラビカ種」と聞いています。いつも飲んでいる焙煎コーヒー豆はアラビカ種なので、主要国だけでいいので「アラビカ種ランキング」あるいは「アラビカ種とロブスタとの比率」は知りたいところです。

「FAOSTAT」内でも「Arabica」や「Robusta」で項目を探したり、内部検索してデータがないか調べましたが、どうやら「Green Coffee」よりも細かい区分はなさそうです。

「USDA(米国農務省)」のデータが使えそう

そんな中、ネット検索で「USDA(United States Department of Agriculture:米国農務省)」が公開している「Coffee: World Markets and Trade」という報告書データを見つけました。

この報告書の最新版(PDF)を見ると、2019年から2023年までの「Arabica」「Robusta」「Total」で区分した生産主要国の「Productin(生産量)」が「Coffee Summary」としてデータ表が公開されています。

Dec 20, 2023: Coffee: World Markets and Trade(PDF 英文)

また、報告書には生産主要国の概要と予測も書かれています。

  • 2023/24 年の予測
    • 世界コーヒー生産量は 17,140 万袋で前年比 690 万袋増加。
    • ブラジル、コロンビア、エチオピアの生産量増加がインドネシアの減少分を補う
    • ブラジルはアラビカ種が回復し、ロブスタは減産。総生産量は 6,630万袋で前年比 370万袋増加
    • ベトナムは 95%近くがロブスタで、総生産量は 2,750万袋で前年比 30 万袋増加
    • コロンビアのアラビカ種は 80万袋増の 1,150万袋
    • インドネシアは 220万袋減の 970万袋。そのうちロブスタが 210万袋減
    • インドはほぼ横ばいの 600万袋。そのうちアラビカ種は 140万袋で 20万袋減

「USDA」について「日本事務所」に以下ような説明がありました。

米国農務省(USDA)日本事務所は、アメリカの農林水産物・食品の普及拡大に努めております。

海外農務局(FAS)はアメリカ産農産物の貿易促進、新市場の開拓、国際市場での地位の向上、食糧および技術支援に取り組んでいます。

米国農務省について – USDA Japan – 米国農務省 日本事務所

今回、参照した「Coffee: World Markets and Trade」は「USDA」の「FAS」が発行したものです。2004年から半年に一度、発行・公開し続けており、その信頼性は高いと考えていいでしょう。

「USDA」と「FAO」の 2022年データで比較

単位の「袋」は「60kg」で換算できるので「FAO」と 2022年のデータで主要生産国の「コーヒー豆 生産量」を比較してみました。結果としては「同じ」数字にはなっていませんが、それでも「ケタ違いな数字はない」といえます。各国のデータ元や集計期間の違いもあるので、これくらいなら許容範囲かもしれません。

USDA 2022/23FAO 2022
主要生産国千袋トントン
Brazil66,4003,984,0003,172,562
Vietnam31,3001,878,0001,953,990
Colombia11,600696,000665,016
Indonesia9,700582,000794,762
Ethiopia8,350501,000496,200
Uganda6,850411,000393,900
Honduras5,500330,000315,490
India5,810348,600338,619
Peru4,200252,000352,645
Mexico4,090245,400181,706
Guatemala3,435206,100225,500
Nicaragua2,660159,600170,181
China1,800108,000108,000

一方、気になったのは「USDA」のデータに「中央アフリカ共和国」「ギニア」が出てこないことです。本当に実際のところ、この 2か国はどうなっているのでしょうね。

「アラビカ種ランキング」と「ロブスタ ランキング」

とりあえず「USDA」資料(2023年12月発行)の「2022/23」データで「アラビカ種だけ」のランキングは以下の通り。

Arabica
Production
2022/23
千袋
比率累積
1Brazil39,80045.3%45%
2Colombia10,70012.2%58%
3Ethiopia7,3008.3%66%
4Honduras5,7006.5%72%
5Peru3,4003.9%76%
6Guatemala3,1503.6%80%
7Mexico3,0003.4%83%
8Nicaragua2,5002.8%86%
9India1,6671.9%88%
10China1,6001.8%89%
11Costa Rica1,4251.6%91%
12Indonesia1,3501.5%93%
13Uganda9901.1%94%
14Vietnam9001.0%95%
15Papua New Guinea8250.9%96%
Other3,5794.1%100%
Total87,886100%

同様に「2022/23」データで「ロブスタだけ」のランキングは以下の通り。ロブスタだけでもブラジルは 2位なのですね。

Robusta
Production
2022/23
千袋
比率累積
1Vietnam26,30034.3%34%
2Brazil22,80029.7%64%
3Indonesia10,50013.7%78%
4Uganda5,5757.3%85%
5India4,2005.5%91%
6Malaysia2,0002.6%93%
7Cote d’Ivoire1,0501.4%95%
8Thailand7000.9%95%
9Mexico5450.7%96%
10Tanzania5200.7%97%
Other2,4563.2%100%
Total76,646100%

総合ランキングに品種別のデータを追加

そして「USDA」資料(2023年12月発行)の「2022/23」データで「総合ランキング」に「アラビカ種」「ロブスタ」のデータを張り付け、抜け部分も差分から予想して太字で入力して「アラビカ比率」も計算しました。

2022/23  
コーヒー豆
生産国
合計
(千袋)
アラビカ
比率
ロブスタ
1ブラジル62,60039,800
64%
22,800
2ベトナム27,200900
3%
26,300
3インドネシア11,8501,350
11%
10,500
4コロンビア10,70010,700
100%
0
5エチオピア7,3007,300
100%
0
6ウガンダ6,565990
15%
5,575
7インド5,8671,667
28%
4,200
8ホンジュラス5,7005,700
100%
0
9メキシコ3,5453,000
85%
545
10ペルー3,4003,400
100%
0
11グアテマラ3,2703,150
96%
120
12ニカラグア2,6602,500
94%
110
13マレーシア2,00002,000
14中国1,6001,600
100%
0
15コスタリカ1,4251,425
100%
0
16タンザニア1,120600
54%
520
17コートジボワール1,05001,050
18パプアニューギニア875825
94%
50
19ケニア750750
100%
0
20タイ7000700
合計164,53287,886
53%
76,646

これでコーヒー豆の生産国でアラビカとロブスタに関して以下のことが言えるでしょう。

  • コーヒー豆の生産量はアラビカのほうがロブスタよりも多いが、半々に近いともいえる。
  • 総合 1位のブラジルはアラビカが 6割超でアラビカだけでも 1位。ロブスタだけでもベトナムに次いで 2位。
  • 総合 2位のベトナムはほぼロブスタでロブスタだけなら 1位。でも数%のアラビカも日本市場には出回っている。
  • コロンビア、エチオピア、ホンジュラスはアラビカ100%。アラビカだけならブラジルに次ぐ 2位、3位、4位。
  • インドネシアは約 9割がロブスタで、ロブスタだけなら 3位。残り 1割に「マンデリン」などが含まれている。
  • ロブスタだけならウガンダ、インドが 4位、5位。5位まででロブスタの 9割となる。

以上のことをグラフでまとめてみました。

これらの情報を踏まえて、今後も「コーヒー豆 生産国」に注目していきたいです。